防衛機制【臨床心理学】
「防衛機制」についてまとめます。
- 防衛機制とは
- 合理化
- 否認(否定)
- 投射(投影)
- 昇華
- 補償
- 代理
- 知性化
- 抑圧
- 抑制
- 隔離(分離・解離・スプリッティング)
- 取り消し(打ち消し)
- 逃避(回避)
- 転換
- 反動形成
- 退行
- 置き換え(象徴化)
- 同一化(同一視)
- 取り入れ(摂取)
- 理想化
防衛機制とは
危険や困難に直面した場合や受け入れがたい苦痛・状況にさらされた場合に、それによる不安や体験を減弱させるために無意識に作用する心理的なメカニズムのこと。
合理化
・自分の態度や行為が避難されないようにするために、言い訳をして正当化すること
・欲求が満たされないとき、その耐え難い感情をかなり強引な理屈づけを行って処理しようとすること
例)異性に振られたとき、「あんな奴と付き合わない方が自分のためになる」などと思い込むこと
例)失敗したのは体調が悪くて調子がでなかっただけだと言う
例38-PM56)アルコール依存症の状態にある夫が妻から強く断酒を迫られ、「そんなにガミガミ言うから飲んでしまうんだ」と弁明する
否認(否定)
・現実の不快な事柄に目をつぶって認めないこと
・容認したくない感情、経験を実際には存在しなかったかのように振る舞うこと
例)泳ぐのが苦手なのに、自分は泳げると言い張る
例)異性から振られたのに、自分から振ったのだと思い込むこと
例38-PM57)障害を「必ず治る」と言い張る
投射(投影)
・自分の認めがたい抑圧した感情が、自分のものではなく、他者のものであるとみなすこと
例)自分のことを棚に上げて、相手に責任を転嫁する
例54-AM80)交通事故により下肢を骨折したが、リハビリテーションの回数が少ないことで、治療者に強い不満をぶつけてしまった。その後「先生は私を嫌っている」と考える
例52-AM78)自分自身が受け入れることができない衝動・観念を、他の人が持っているとする
昇華
・抑えられた欲求を社会的に受け入れられるものに変えて発散すること
例)欲求不満を、スポーツなどで解消する
例47-PM78)交通事故→パラリンピック出場を目指す
補償
・自分の弱点をほかのことで補おうとすること
例)スポーツが苦手だから勉強を頑張る
例39-PM57)体力が弱いために生じる劣等感を、勉強に秀でることによって克服しようとする
代理
・欲求が何らかの障害によって充足できないとき、類似したほかの目標を達成しようとすること
例)コンサートに行けないのでライブの動画を見る
知性化
・強い衝動や葛藤を過度に知的な活動によって覆い隠そうとすること
例)青年期の心の葛藤を哲学に没頭することでかわす
抑圧
・実現困難な欲求や苦痛な体験などを抑え込んで無意識に意識から締め出して忘れようとすること
例)親に向けた憎しみの感情が意識されない
例46-AM80)不安を伴う事柄を思い出さないようになる
抑制
・不快な出来事を意識的に忘れようとすること。意識すれば思い出す。
例)昔あった嫌なことを忘れようと努力する
隔離(分離・解離・スプリッティング)
・苦痛を伴う体験をしたとき、それにまつわる感情を記憶から切り離し、事実だけを残すこと。その体験をしているのは「わたしの自我ではない」とみなすのは分離・解離
例)人に叱られたことだけを覚えていてその時の嫌な気持ちを忘れてしまう
取り消し(打ち消し)
・過去の罪悪感を、それとは反対の思考や行動によって打ち消そうとすること
例)相手を非難しておいて、その後何もなかったかのように相手に親切にふるまう
逃避(回避)
・嫌なことや考えたくないことを、考えないようにすること。苦しい現実から逃げ出すこと
例)試験前に長時間ゲームをしてしまう。病気になって学校を休む
例43-PM56)試験が近づいているにもかかわらず、ゲームにふけっている
転換
・不満や葛藤が無意識的に身体症状として現れること
例)ヒステリー、失声
反動形成
・抑圧された心理と正反対の態度を示すこと
例)好きな子に対して意地悪をしてしまう
例53-AM79)欲求を満たせないときに、正反対の欲求を発展させ心的平衡を保とうとする
例37-PM56)受け入れがたい本能衝動の意識化を防ぐために、その衝動と反対の態度で接する
例34-PM62)自己の敵意を抑え、逆にへりくだった態度で相手に接する
退行
・現在の状態から以前の、より未発達な段階へと戻ってしまうこと
例)赤ちゃん返り
例49-P78)弟や妹が生まれたときに、子どもが指しゃぶりを再び始める
置き換え(象徴化)
・ある対象に向けられていた衝動や願望が、自分にとって受け入れられないとき、より受け入れやすい別の対象に向けられること
例)八つ当たり、わら人形
同一化(同一視)
・他者を自分のなかにあてはめて、それに似せようとすること
・他者と同一化して代理的に満足する
例)憧れのヒーローをまねる
例50-P79)憧れの人の口調や身振りをまねる
例40-56)幼児が「親のようになりたい」と親のまねをする
例37-57)有名人をさも自分が親しくしている人のように言いふらす
取り入れ(摂取)
・自分と他者との区別が曖昧なままに、他者の属性を自分のものにしようとすること
例)知らず知らずのうちに親の要求するとおりに行動していた
理想化
・対象を「すべてよい」とみなすことにより、そこに悪い面が入り込むのを防ごうとすること
例42-57)一目惚れ
《防衛機制ではないもの》
・転移
・攻撃
?行動化(45-AM79):患者が治療者に不満を抱き、沈黙を続ける
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