進行性筋ジストロフィー【神経内科学】
「進行性筋ジストロフィー」についてまとめます。
進行性筋ジストロフィー
骨格筋の変性・壊死を主病変とし、進行性の筋力低下や筋萎縮をきたす遺伝性疾患の総称。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー
・全体の70%
・伴性劣性遺伝、男児にのみ発症
・幼少期に発症
×思春期の男子
×特定疾病
《症状》
・登はん性起立(Gowers sign):stageⅡ
・歩行:動揺性歩行、トレンデレンブルグ徴候、大殿筋歩行
・筋短縮:頸部伸筋群・腸腰筋・腸脛靭帯・大腿筋膜張筋・ハムストリングス・大腿四頭筋・下腿三頭筋・後脛骨筋
※赤字:最も早期にstageⅡの段階においてみられる
×大殿筋(単関節筋)
×初発症状は上肢の筋力低下
・筋力低下:頸部前屈筋群・股関節伸展筋群・股関節内転筋群・腹筋群
肢帯筋・肩甲上腕(ポパイの腕)
・下腿三頭筋の仮性肥大
※下肢筋力が上肢筋力より早く低下する
・関節拘縮、変形
股・膝:屈曲拘縮
足:尖足拘縮 ×踵足変形
※立位・歩行時の尖足は膝を安定させる作用がある
×立位・歩行時の腰椎前弯はバランスを崩す原因となる
×立位での腰椎後弯
×膝屈曲位での立位姿勢
脊柱・胸郭変形:歩行が不能となる前後、stageⅢ頃から出現しⅣ・Ⅴで著明
・筋線維の大小不同
×筋線維束単位で萎縮
×直径はいずれもほぼ等しい
・筋線維が結合組織や脂肪組織に置換される
×リンパ球などの炎症性細胞の著しい浸潤がみられる(多発性筋炎・皮膚筋炎)
・咳嗽力低下
・動脈血二酸化炭素分圧が上昇する
・呼吸不全は20歳前後に生じることが多い
・徳大式ばね付き長下肢装具
《5歳》
・通常歩行可能
・足関節背屈制限
・動揺性歩行
《10歳頃》
・指這いでの上肢移動
・心不全徴候
・動脈血二酸化炭素分圧の上昇
×出生時から筋緊張低下がみられる
×15-20歳で歩行不能となる (10歳前後の学童期)
×口すぼめ呼吸、閉塞性換気障害
×呼吸不全は5歳以下から生じることが多い (20歳前後で生じることが多い)
×腱反射亢進
×深部感覚障害
×バビンスキー反射
×側彎症は呼吸機能に影響しない
×視力低下
×神経伝導速度異常
×ミオトニア現象
×横隔神経麻痺を生じる
×脳萎縮
《障害度分類》
stageⅠ:階段昇降可能(手すり不要)
stageⅡ:階段昇降可能(手すり必要)
stageⅢ:椅子からの立ち上がり可能
stageⅣ:椅子からの立ち上がり不能、平地歩行可能
stageⅤ:歩行不能、四つ這い移動可能
stageⅥ:四つ這い移動不能、いざり移動可能
stageⅦ:いざり移動不能、座位保持可能
stageⅧ:座位保持不能、寝たきり
ベッカー型ジストロフィー
・伴性劣性遺伝
肢帯型筋ジストロフィー
・常染色体劣性遺伝、常染色体優性遺伝
・7-20歳代に発病
・肢帯または肩甲帯から弱化
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー
・常染色体優性遺伝
・6-20歳代に発病
・顔面、肩甲上腕筋群から弱化、20-30歳で肢帯部に
×女性に多い
×経過は急性に進行
×仮性肥大がみられる(あっても腹筋群)
×嚥下障害をきたす
筋強直性ジストロフィー
・常染色体優性遺伝
・四肢遠位部の筋力低下
・ミオトニア現象:筋が収縮したあとにすぐに弛緩できない現象
福山型筋ジストロフィー
・生後1年以内:発症年齢が最も低い
・精神遅滞を呈する
◆国試対策の参考書といえばコレ⇩
◆その他・参考書いろいろ⇩
◆動画でも解説しています⇩