【第54回理学療法士国家試験】PM第94問:赤血球産生に関わる疾患【解説】
問:赤血球の産生が低下しないのはどれか。
1.腎性貧血
2.溶血性貧血
3.鉄欠乏性貧血
4.巨赤芽球性貧血
5.骨髄異形成症候群
出典:厚生労働省HP 第54回理学療法士国家試験問題
【午後問題PDF】
解説
各選択肢について解説していきます↓
1.腎性貧血
エリスロポエチンの欠乏またはエリスロポエチンに対する反応性の低下により、
赤血球産生能力が低下する。
※エリスロポエチン:赤血球の産生を促進する造血因子。主に腎臓の尿細管間質細胞で生成される。
2.溶血性貧血
溶血によって起こる貧血。赤血球の産生は低下しない。
※溶血:赤血球が破壊されること
3.鉄欠乏性貧血
体内の鉄が不足することで赤血球に含まれるヘモグロビンが作れなくなることによって生じる。
4.巨赤芽球性貧血
色々な原因により骨髄に巨赤芽球が出現する貧血の総称。
DNA合成が障害され核の成熟障害をきたし、異常な巨赤芽球が産生される。
巨赤芽球は、赤血球前駆細胞である。
つまり、赤血球前駆細胞である異常な巨赤芽球が産生され、赤血球の産生が低下する貧血である。
5.骨髄異形成症候群
骨髄中で健常な血液細胞が充分につくられない疾患の一種。
症状は赤血球減少による顔色不良、全身倦怠感、動悸、息切れなどの症状や、血小板減少による皮膚・粘膜の点状出血や鼻出血などの症状がみられる。
よって答えは2になります。
Point
貧血という言葉が含まれない用語「5.骨髄異形成症候群」を選択しがちだが、
骨髄で赤血球を含む血球成分が作られること(造血作用)を理解していれば選択しないでしょう。
他の選択肢は、それぞれの貧血がどのような機序による貧血なのかを理解しましょう。
「溶血=赤血球が破壊されること」ということが分かっていれば解けるかと思います。