問:認知症の原因になりにくい疾患はどれか。
1.葉酸欠乏症
2.正常圧水頭症
3.慢性硬膜下血種
4.甲状腺機能亢進症
5.ビタミンB12欠乏症
出典:厚生労働省HP 第54回理学療法士国家試験問題
【午前問題PDF】
解説
まず認知症の原因疾患を分類してまとめます。
今回の問題となっている疾患を赤字にしてます。
1神経変性疾患 | アルツハイマー型認知症、ピック病、パーキンソン病、ハンチントン病、 進行性核上性麻痺、脊髄小脳変性症、皮質基底核変性症など |
2脳血管障害 | 脳梗塞(塞栓または血栓)、脳出血など |
3頭部外傷 | 脳挫傷、脳内出血、慢性硬膜下血腫など |
4悪性腫瘍 | 脳腫瘍(原発性、転移性)、癌性髄膜炎など |
5感染症 | 髄膜炎、脳炎、脳膿瘍、進行麻痺、クロイツフェルト・ヤコブ病など |
6代謝・栄養障害 | ウェルニッケ脳症、ペラグラ脳症、ビタミンB12欠乏症、肝性脳症、電解質異常、脱水など |
7内分泌疾患 | 甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能亢進症、副腎皮質機能低下症など |
8中毒性疾患 | 薬物中毒(向精神薬、ステロイドホルモン、抗癌剤など)、アルコール、一酸化炭素中毒、金属中毒(アルミニウム、水銀、鉛など) |
9その他 | 正常圧水頭症、低酸素脳症など |
引用:健康ネット | 健康・体力アップ|健康・体力づくりのための知識|認知症を理解する
選択肢の疾患について解説します。
1.葉酸欠乏症 5.ビタミンB12欠乏症
※水溶性ビタミン:ビタミンC・ビタミンB群(B1・B2・B6・葉酸・B12など)
※脂溶性ビタミン:ビタミンA・D・E・K
2.正常圧水頭症
水頭症とは、脳脊髄液の流れが悪くなり、新しく作られた脳脊髄液が溜まってしまうことで、脳室が拡大する病気です。髄液圧が正常(180mmH2O以下)な場合を正常圧水頭症という。
【原因】:くも膜下出血・頭部外傷・髄膜炎・脳腫瘍に続発します。
【3大徴候】:歩行障害・認知症・尿失禁
3.慢性硬膜下血種
頭部外傷後慢性期(通常1~2ヶ月後)に硬膜とくも膜との隙間に血腫が貯まり、血腫が脳を圧迫して様々な症状がみられます。
※3層の脳脊髄膜
脳と脊髄を覆う膜 【外側:硬膜・くも膜・軟膜:内側】
【症状】頭蓋内圧亢進状態:頭痛・嘔吐・変動する意識障害・認知症
4.甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
【症状】疲れやすい・動悸・多汗・体重減少
メルセブルグ三徴:眼球突出・甲状腺腫・頻脈
※甲状腺機能低下症(橋本病)
【原因】甲状腺の炎症などにより、甲状腺ホルモンが出なくなる。
中年女性に多い
【症状】徐脈・食欲不振なのに体重増加・皮膚の乾燥・認知機能の低下・嗄声(させい:声がかすれる)
※甲状腺ホルモンは「やる気ホルモン」とも呼ばれている。
→これにより亢進・低下の症状がイメージしやすいかと思います。
覚えるポイント
まずは、3大認知症を覚えましょう↓
(今回の問題では問われていませんが・・・)
今回の問題を解くポイントを3つに絞ります!
認知症の原因となる疾患は・・・
ポイント①:脳神経系の疾患
ポイント③:甲状腺機能低下症
今回の選択肢を上記ポイントで判断すると・・・
1.葉酸欠乏症:ポイント②
2.正常圧水頭症:ポイント①
3.慢性硬膜下血種:ポイント①
4.甲状腺機能亢進症:ポイント③(低下症が認知症の原因)
5.ビタミンB12欠乏症:ポイント②
ということで、正答は4です
「認知症」についての問題は頻出です。勉強しておきましょう。