「脊髄損傷の合併症」についてまとめます。
呼吸障害
・肺活量の低下(横隔膜・肋間筋筋力低下)
・1回換気量の低下
・予備呼気量の低下
・残気量の増加
・拘束性換気障害
起立性低血圧
・T5、6損傷以上で出現しやすい
《原因》
血圧調節機構が障害されており、腹部・下肢への血液貯留により起こる
・内臓神経(T5-12)の障害:腹腔内臓の血管運動障害
・下肢の運動麻痺による筋ポンプ作用障害
・圧受容器反射の低下
《対応》
腹帯、下肢への弾性包帯、立位練習など
自律神経過緊張反射
・T5、6損傷以上(内臓神経が障害される)
・損傷レベルより上の発汗、下は鳥肌
《原因》
膀胱の充満や拡張:排尿が上手くいかず、膀胱に尿が充満している
宿便:ひどい便秘が起こっている、お腹が張っている
感染:尿路からの感染による膀胱の感染や肛門・痔からの感染
褥瘡(じょくそう):床ずれ
骨折や打撲
皮膚への刺激:切り傷、皮膚の感染症、擦り傷
やけど:熱湯や日焼けによるやけど
きつい、締め付けが強い衣服
陥入爪(かんにゅうそう):爪が皮膚に食い込むことで炎症や感染を起こします
性行為
《対応》
正しい排尿・排便コントロールが重要
×下肢挙上(血圧降下時の対応)
《原因》
×起立負荷で生じる
《症状》
・頭痛
・血圧上昇(高血圧) ×血圧低下(低血圧)
・発汗 ×発汗抑制
・徐脈 ×頻脈
・動悸
・呼吸困難
・瞳孔散大
・鼻閉
・顔面紅潮
×低血糖
排尿障害
脊髄排尿中枢:S2-4
排尿筋括約筋協調不全
《核上型神経因性膀胱(反射膀胱・自動膀胱)》
・膀胱容積:減少
・残尿:少量
・膀胱内圧:上昇
・排尿反射:あり
→下腹部の叩打やトリガーポイントを利用した排尿訓練
《核型神経因性膀胱(自律膀胱・無緊張膀胱・弛緩膀胱)》
・膀胱容積:過伸展(600-1000ml以上)
・残尿:多い(または排尿不能)
・膀胱内圧:低下
・排尿反射:なし
→下腹部に圧迫を加え排尿する
→導尿が必要となるが、尿道カテーテル長期留置は、尿路感染症を生じるため望ましくない
《核下型神経因性膀胱(自律膀胱・無緊張膀胱・弛緩膀胱)》
・膀胱容積:過伸展(600-1000ml以上)
・残尿:多い(または排尿不能)
・膀胱内圧:低下
・排尿反射:なし
褥瘡
《原因》
・感覚麻痺により圧迫や湿潤、摩擦、不潔といった皮膚の違和感を感知できないことによる
・交感神経系の麻痺によって局所の阻血、栄養障害を生じる
《好発部位》
・仙骨部
・大転子
・踵部
・腓骨(外果、小頭)
・肩甲骨
《予防》
・2時間ごとの体位変換
・マット、クッション
骨萎縮
・脊髄損傷後2か月~1年
・合併症:尿路結石(骨代謝における尿中へのカルシウム成分排泄量の増加)
異所性骨化
損傷部位より下位の軟部組織に塊状の骨が形成される現象
初期には局所の熱感を生じる、関節周囲に熱感が生じる
・受傷後2か月~1年 ×受傷後1ヵ月以内
・血清アルカリフォスファターゼ(ALP):上昇
×血清カルシウム上昇
・関節拘縮の原因となる
《好発部位》:大関節
・股関節
・膝関節
→他動運動(強制的な他動運動はNG)
×発生すれば関節可動域運動を中止する
×肘関節
×手関節
×仙腸関節
×足関節
×脊柱
×足指関節
《対応》
×電気刺激
関節拘縮・変形
《C4》
・肩甲骨挙上位
ADL:肺活量減少
《C5》
・肩甲骨挙上位
・肩関節外転位
・肘関節屈曲位
・前腕回外位
ADL:整容動作・更衣が部分解除(全介助)
《C6》
・肩関節外転、外旋位
・肘関節屈曲位
・前腕回外位
・手関節背屈位
《C7》
・MP伸展位
・IP屈曲位
《合併症》
・呼吸障害
・骨粗鬆症
・下肢の浮腫
・異所性骨化
・核、核下障害型膀胱
・消化性潰瘍
・褥瘡
・拘縮
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